相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜
劇場版Ⅱ。ついに官房長殉職です。当然ストーリーの大事なポイントに官房長が関わってきます。
シーズン9第9話「予兆」から話がつながっています。「予兆」は2010年夏の設定なので、この回も2010年夏。「予兆」の最後で、警視庁に向かう男が映し出されますが、この男がそのまま警視庁に入り込み、警視総監を含む幹部定例会議の場に乱入し、籠城事件を起こします。
警視庁での籠城事件発生を警察庁長官の金子に伝え、対応を話し合う官房長。しかし、純粋な対応ではなく、彼らには、この機会に警視庁に対し、警察庁を優位な立場に立たせるあるたくらみがあります。
籠城事件は、犯人射殺の形で終結。そのことを金子に報告する官房長。それだけでなく、「長官の意向に役立つ」あるものを入手したとして、それを渡します。
出ました、右京さんと官房長の会食シーン。今回はもはや名物の回転寿司。残念ながら、これが最後の会食。今回の籠城事件の背景には、7年前に捜査員が死亡した爆発事件があるらしいことをつかんだ右京さんはそのことを聞くために官房長を誘ったようです。官房長は「よく知らないんだ」と受け流します。
ちなみにロケ地は劇場版の回転寿司シーンと同じ「活鮮 大泉店」(https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132103/13042899/)。閉店しちゃった?
官房長「たまには未来を思い描いてもいい頃だと思わない?」
右京さん「はい?」
官房長「人はたいがい前に向かって成長する生き物でしょ。僕だってほら、今日は皿を戻してないし」
右京さん「それは成長ではなくただの常識です」
官房長「これはまだ内緒なんだけど、近々大きな動きがある」
この「大きな動き」がこのストーリーの大きなポイントです。
場面変わって大河内さんと。「長官の意向に役立つ」あるものとは録音音声の入ったSDカード。これを大河内さんに聞かせます。「長官の意向に役立つ」=「大きな動き」=「官房長の計画」。そしてその計画は大河内さんも賛成しているもの。そういえば、以前からこの2人は、日本版FBIとか日本版CIAとか話してましたね。いずれにせよ、大河内さんもその方向性に賛同している「大きな動き」実現のため、特命2人がこれ以上籠城事件を掘り下げないよう大河内さんに頼みます。
特命2人は、籠城事件の背景にある7年前の爆発事件に警視庁幹部が関わっていることを突き止めますが、官房長に頼まれた大河内さんがそれを阻止するという展開に。
録音音声という切り札を持つ金子長官と官房長は、田丸警視総監を料亭に呼び出し、警視庁幹部の人事刷新を迫ります。それは、官房長らが進めようとしている「大きな動き」に警視庁幹部が反対するため、それを抑える措置。
一方、定例会議室に盗聴器が仕掛けられていたことを発見した右京さんは、仕掛けたのが官房長であることを突き止め、官房長室へ。官房長が入手した録音音声は、定例会議の盗聴音声だったのです。右京さんは、盗聴が違法行為であることを責め、さらに、盗聴音声に7年前の爆発事件のことを語る犯人の声が含まれているのではないかと官房長にせまります。官房長は、いつものようにのらりくらりとかわすのではなく、厳しい態度で拒絶します。
そして、警視庁幹部人事刷新を通達する会議。最初の解雇対象は、ノンキャリアのたたき上げで生活安全部長にまで昇進した三宅部長でした。
官房長に頼まれていったんは特命係の動きの阻止に回った大河内さん。その後神戸君との激しいやりとりが2度あり、ついに大河内さんは特命係に盗聴音声を渡します。その音声から警察幹部が籠城犯を意図的に射殺したことを右京さんが突き止めます。一方、大河内さんは、特命係に音声を渡したことを官房長に報告。官房長はしたたかにも、ありえない手を使って特命係の動きを止めようとします。「ありえない手」とは、部下の丸山に、盗聴の実行者として自首させ、盗聴音声の証拠能力をなくさせるというもの。
特命2人は官房長のところへ。官房長は「警察庁を警察省に格上げしようと動いている」ことを明かします。これが「大きな動き」の内容でした。その動きを良しとせず抵抗しようとしていた警視庁幹部を、盗聴音声を武器に抑えにかかったというわけでした。
官房長のやり方に納得のいかない右京さんと神戸君。しかし、官房長は、
官房長「正義の定義なんて、立ち位置で変わるもんでしょ」
厳しい態度で特命2人をはねつけた官房長。しかし、その直後、駐車場へ出たところで、壮絶な最後を迎えます。待ち構えていた男に刺されてします。その男は、警視庁幹部人事刷新で最初のターゲットになった三宅部長でした。
「大きな動き」の神輿を担ぐ人間をなくした警察庁は、警視庁に押し返され、「警察省」構想は棚上げに。ラストシーンは、官房長の警察葬のシーン。ここでも真相追究の姿勢を貫く右京さん。余韻のない「ガシャン」という感じの終わり方で、劇場版Ⅱはエンドロールを迎えます。
官房長初登場が2002年10月9日放送のシーズン1第1話。そこから8年での殉職となりました。そして官房長殉職後すでに8年(2018年9月現在)。ほぼ同じ月日が流れました。相棒の歴史の半分は官房長のいない相棒なんですね。そしてこれから官房長のいない期間のほうが長くなる。
官房長と右京さんの独特の関係が、相棒になんともいえない緊張感とユーモアを加え、くせになる味を加えてきたと思います。それが今後味わえないのはやはりさみしいですね。
さあ、これで官房長登場は実質おしまい。でも、もう1回だけ、わずかながら登場があります。それは次回。